寒冷地での凍上については十分な注意が必要である。凍結深度を調べ、その対策を検討しておくことが望まれる。一つは凍上による破壊を避けること、第2に床下からの熱の放散を防ぐことである。
長野県の浪合村は標高1,000m、氷点下15℃以下の年も多い厳寒の村である。寒いため雪は細かく、風に飛ばされる。中心部でも雪は水平に走り積もらないが、路面や樋などが日中の融氷融雪と夜間の再凍結によって破壊される。凍結深度は80cmであったので、外部回廊や中庭には1,000mmの深さを砂利と砂に置き換え、建物部には1,200mmの地中梁を内外100mm厚の発泡スチロールでくるみ、スラブ下にも敷き込んだ。通常は建物外周から約1mより内側は地熱があるため断熱の必要は無いとされているが、床暖房を行うことと零下15度にもなる厳寒の風土を考えるとすこし慎重すぎるとはいえ、すべてに厚い断熱材を敷き込むべきだと判断した。通常の35mmでは施工時に作業員の歩行で割れることも心配であった。
特に犬走り下部の地中梁外側は最もヒートブリッジに成りやすい為、断熱材を忘れてはならない箇所である。ここでは24時間型床暖房により、暖かい朝を過ごしている。
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