TOP HOT NEWS PROFILE WORKS 復興構想
Recovery Plan
for Fukushim
エネルギー
開発
Energy
Development
環境建築
Environmental
Architecture
地域づくり
Town/Regional Planning
木質建築
の開発
Timber Structure Development
COLUMN
|
   COLUMN 07 外断熱工法の効果
01
断層を避け、谷を単位とした水系保全型開発
02
凍結深度と基礎断熱
03
床暖房と木質フローリング
04
開放的で透明な空間を木サッシで創る
05
エンジニアリングウッドの可能性
06
内断熱の失敗
07
外断熱工法の効果
08
木構造による軽い屋根表現
09
風化させるな環境問題
10
サスティナビリティ
11
個の尊重
12
汐留都市再開発での都市デザインの欠落
13
東京の空の不思議
14
すばらしい春秋空間は不快な夏冬を超越できるか
15
だれがデザインの責任を負うのか(第三者監理の課題)
16
吉武研究室での刺激的時間
17
風景を凛と引き締める屋根
18
木造の第五世代
19
現代の職人
20
ASIA WEEK
島塚 容子氏
21
Sustainable Designworks
2000-2007
22
Nanasawa Kibonooka
Elementary School
23
建築関連分野の地球温暖化対策ビジョン 2050
24
木の魅力を拡げる
25
木造でつくる、
次世代の「近代建築」
Timber Structural
Development Will Spread
The Next Generation
Of The Modern Architecture
26
Thinking outside
the usual white box
27
地球温暖化対策
アクションプラン2050
28
低炭素社会の理想都市と
分散型エネルギー
ネットワーク
Ideal Environmental City
For The Low Carbon Society
And The Dispersed
Energy Network
07 外断熱工法の効果
 外断熱工法は内断熱と比べやはり安全な工法である。浪合フォーラムのV期では前述した内断熱の夏期昼夜間温度差による結露の失敗を教訓に、野地板の上に発泡スチロール35mmを載せ、その上にステンレス溶接工法を行う外断熱工法を採用した。しかも野地板の直下部の空気が流動するように、母屋の上に垂木を組む工法としたのだ。この工法ではさすがに結露等の問題は一切起こらない。ただし、意匠的に垂木と断熱材の厚さの分だけ屋根が厚くなり、さらに屋根端部では断熱材が不要な位置でステンレス板が1段下がる上段付きのぼてっとしたデザインとなるのが気になるところである。

 屋根部に比べて、外壁部ではなかなか外断熱はしにくいのが現状である。これは今後の意匠状の大きな課題であると思っている。小玉祐一郎氏は秋田の飯田川小学校で屋根から外壁全体をステンレスの板でくるんだ、完全外断熱の工法をモデルとして提示してくれたが、意匠的には特殊な解決方法と思われ、一般解にはならないと思っている。野沢正光氏はいわむらかずお絵本の丘美術館で外断熱を木板で行っているが、この方が普遍性はあると思われる。

 壁全体を断熱することは私にとって、デザイン的な手法と矛盾することが多く、RC造のバルコニー等からのヒートブリッジを無くすことが難しいことと同様にうまい解決方法が見つからないでいる、悩み多い課題である。例えば、柱型を室内に出さずに柱の内面に壁を造ろうとすることと、外断熱工法は外部の突出した柱型をもくるまなくてはいけないのかと悩んでしまう。また、柱梁の構造部を強調し、柱梁と壁部分をスリットで分けようとするような、壁の部分を二次部材と見せるデザインとも矛盾するのだ。

RC造のバルコニーがヒートブリッジになるということも、理屈では分かっていても、これも他の解決方法が見いだせないでいる課題の工法である。近年、外断熱工法がもてはやされてきているが、現在のところ、木製外壁と蔵づくり以外にはぴったりしたデザイン手法を見いだせないでいる状態である。
外断熱工法断面詳細図
「エコマテリアル百話」掲載0110
↑PAGE TOP