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04 開放的で透明な空間を木サッシで創る |
寒冷地ではなかなか天井の高い、豊かな空間が出来ない。一般の民家では、最近はアルミサッシに変えたために、さすがに気密性は良くなったが、断熱性能は不十分なままの場合が多く、石油ストーブがたかれて窓が結露で曇っている家が多く見られる。人々は石油ストーブに面している方は暑くて赤くなりながら、反対側の窓側は冷たく、その対比が石油ストーブの暖かさだと錯覚していることも多い。
なかなか輻射熱を奪われていることを認識しないことが実は不思議な状態とも言える。熱エネルギーは平準化の原理があり、高い温度の物質から低い温度の物質へエネルギーが光と同じように伝わる。これが輻射であり、ガラス面と人との間で熱量が移動しているため、ガラス側が冷たく感じるのだ。
一般の寒冷地の建物は、吹き抜けなど上部に空気が対流する空間を設けず、窓も小さくしてできるだけ低い状態でくるまっていることが暖かい建物を設計する方
法と思われていた。これに対して、閉鎖的、内向的な空間から開放するためには、木サッシとペアガラスが欠かせない武器となる。ある時にはトリプルガラスや鉛入りのLo-eガラスを使用する必要もある。木サッシの断熱性能はアルミサッシより約2,000倍あり、サッシ部分から結露することはない。ペアガラスもガラス厚が5mm以上あればかなり断熱サッシとして効果がある(断熱係数表参照)。また、零下10゜以下の地域にはLo-eガラスが効果があり、零下15゜以下になる地域ではトリプルガラスが必要となる。もちろん大きめの性能を持つことに越したことはないが。
※2015年現在、キマドクワトロサッシが開発され、世界一の断熱性能を獲得した。これでゼロエネルギーハウスが可能となった。
長野県の浪合村は零下15℃の寒冷地なため、「浪合フォーラム」では木サッシにLo-eガラスのペアガラスを採用し、深夜電力利用の顕熱型床暖房で暖房している。これで大きな開口をつくり、吹き抜けのある空間として開放的で透明な、しかも1,2階連続感のある空間を獲得した。この効果は大きく、学校が終わった子ども達や一仕事終えたお母さん方が自然と中央の図書館に集まるようになり、話が弾んでいるようである。
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浪合フォーラム:木サッシ部 |
資料:断熱系数表 |
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「エコマテリアル百話」掲載0110 / 写真:堀内広治 |
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