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COLUMN 17 風景を凛と引き締める屋根 |
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17 風景を凛と引き締める屋根−諫早市森山保健センター− |
諫早市森山地区(旧森山町)は品格ある美しいまちづくりを目指し、中心地区に干拓の道を軸としてカントリーパーク構想をつくり、武道館、スポーツ交流館、図書館、農村レストランなどの公共施設集積を図ってきた。その最後の公共施設がこの丁見広場とその中に建つ支所・情報センター・保健センターの複合施設である。コンペの結果、多良岳を借景とし、自然と建築が融合して雄大な風景を創出する私たちの案が採用された。現在その第一期計画として保健センターが完成し、公園の整備を進めている。今後中央部に第二期の支所・情報センターの計画が予定されている。
公園の基本空間コンセプトは多良岳に対峙する借景的ランドスケープである。その中に建つ建築群造形は品格ある風景づくりの一環として、公園とその周辺の雄大な景観を凛として引き締める格調高いデザインの屋根が必要だった。全体の設計コンセプトは、@「多良岳に対峙する建築」A「人、緑、山を引き立てる建築」B「周囲と調和し、一体感を形成する建築」C「懐かしい家を訪れた気持ちになる空間」とした。
外観は北の雄大な多良岳に対峙し、周囲の公園を訪れる人、公園の緑、東・南を囲われる近くの山と調和し、森山の丘に囲まれた風景の中心を締める黒くきりっとした屋根をもった建築であり、内部は古民家に感じる、懐かしい家を訪れた気持ちになる木造の特徴をふんだんに生かした空間をもっている。現在は片肺の状態だが、西側に第二期の支所・情報センターが整備されると中央軸空間が多良岳に向かい、所期のおおらかな格調高い景観が完成する予定である。
諫早地域には小さな木材を使って大きな家をつくる、ももづき葺きという屋根の伝統構法が伝わっている。この精神に則って小さな部材で8m、12mスパンの空間をつくる構造を考案した。長崎県産の木材は小径木で大スパンには難しいが、105mmの角材を利用し、金物を使わない伝統工法のめり込みトラスによって大空間を実現した。また、城島瓦などの地元の伝統技術、材料を徹底して活用し、全体の木材及び金物の使用量の軽減、雨の多い地域性への配慮と同時に省コスト化を図った。
この屋根は自然の空気の流れを促し、人工的な空調を少なくする省エネ効果ももっている。
大屋根の深い庇は、日射遮蔽を十分に行い、全体の断熱気密性能と木製断熱サッシの採用などで夏季の熱負荷軽減を図っている。自然光を導く切妻頂部の透明菱形水平ダクトは、夏季の暖気排気、自然ドラフト効果による換気冷房、冬季の集熱による床下暖房など、空気の流れを自然に導くパッシブな環境建築を創りあげている。
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日経アーキテクチュア特別編集版 美しい屋根2005 |
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