TOP HOT NEWS PROFILE WORKS 復興構想
Recovery Plan
for Fukushim
エネルギー
開発
Energy
Development
環境建築
Environmental
Architecture
地域づくり
Town/Regional Planning
木質建築
の開発
Timber Structure Development
COLUMN
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   COLUMN 05 エンジニアリングウッドの可能性
01
断層を避け、谷を単位とした水系保全型開発
02
凍結深度と基礎断熱
03
床暖房と木質フローリング
04
開放的で透明な空間を木サッシで創る
05
エンジニアリングウッドの可能性
06
内断熱の失敗
07
外断熱工法の効果
08
木構造による軽い屋根表現
09
風化させるな環境問題
10
サスティナビリティ
11
個の尊重
12
汐留都市再開発での都市デザインの欠落
13
東京の空の不思議
14
すばらしい春秋空間は不快な夏冬を超越できるか
15
だれがデザインの責任を負うのか(第三者監理の課題)
16
吉武研究室での刺激的時間
17
風景を凛と引き締める屋根
18
木造の第五世代
19
現代の職人
20
ASIA WEEK
島塚 容子氏
21
Sustainable Designworks
2000-2007
22
Nanasawa Kibonooka
Elementary School
23
建築関連分野の地球温暖化対策ビジョン 2050
24
木の魅力を拡げる
25
木造でつくる、
次世代の「近代建築」
Timber Structural
Development Will Spread
The Next Generation
Of The Modern Architecture
26
Thinking outside
the usual white box
27
地球温暖化対策
アクションプラン2050
28
低炭素社会の理想都市と
分散型エネルギー
ネットワーク
Ideal Environmental City
For The Low Carbon Society
And The Dispersed
Energy Network
05 エンジニアリングウッドの可能性
エンジニアリングウッドは日本ではまだほとんど生産されていないのが実状である。逆にアメリカでは一般的で、ツーバイフォーの材料として造られているのだが、これが他の国に普及していないのが不思議なくらいである。

PSL(パラレルストランドランバー)を例にとってみよう。アラスカやカナダのPSLは主に米松で造られるが、このPSLの原木から最終製品への有効利用率は驚くことに8595%に及んでいる。普通の米松の集成材が4045%、秋田杉の集成材に至っては2025%という歩留まりの悪さである。特に杉材はヤング係数が低いため、ラミナという25mm30mm厚 の板を挽くときにハンマーで叩きながら、ヤング係数のクラス分けを行い、梁材の辺材にヤング係数の高いラミナを配し、中心に低い材を配するというコンピューター製材を行っているが、それでもこの低い歩留まりである。喩えていえばマグロの大トロだけを食べてあとは捨てているようなものである。

 こう考えるとエンジニアリングウッドの重要性は大きいことが分かる。無駄を無くし、ある時は枝まで利用してストランドをつくり、それを固めて梁をつくる。 この製法はむしろ間伐材の利用に適しているのではないかと思うほどである。ひょっとすると日本の林業の課題を救う道かも知れないと密かに思って、実践する集成材メーカーが表れることを心待ちにしているのである。
このエンジニアリングウッドの木造は、第4世代と位置づけられ、2000年以降は木と木がめり込みで力を伝えあう、金物のジョイントを使用しない、本来の木造構法に戻りながら、新しい空間をつくろうとする、第五世代の方向に木造建築設計は進んできた。
中村事務所では、稲山正弘氏と協働して長崎県森山保健センターを105o角材で12mスパンの空間をつくり、山辺豊彦氏と協働して厚木の七沢希望の丘初等学校を設計した。2015年には佐久間順三氏と協働して東松山市に化石体験館を設計した。

余呉やまなみセンター:PSL梁
「エコマテリアル百話」掲載0110 / 写真:堀内広治
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