「浪合フォーラム」の1・2期の公民館、役場の建物は、大梁の上に600ピッチで母屋を組み、垂木を省略して野地板を張り、ステンレス溶接工法の屋根を葺くという工法をとった。そしてグラスウール断熱材を野地板の裏側に打ち付けるという、内断熱工法とした。この失敗例についてである。
夏の暑い日に梁から小さなシミのような露がそれ程多くはないが落ちてきて、床や机を汚すという連絡を受けた。とりあえず調べてみたが、降っていない雨が漏った訳でもないし、冬の暖房で
結露が出来たわけでもない。思い当たることは少ないのだが、考えられることは日中の直射熱で出来る高温空気が母屋と母屋の間の小さな空間に溜まり、夜中の冷気で飽和点に達して結露するのではないかという現象であった。昼間は浪合村という1,000mの高地でも30゜を越す日があり、屋根面では50゜にも達していると思われる。これが夜中に15゜以下に下がると、その差は30゜〜40゜にもなる。母屋の上に空気が動く垂木のソーンを造っておけば良かったのだが、省略した断面形のため、空気は動かず、長手方向に閉じこめられるのだ。対応方
策として、妻側の庇天井にドリルで小さな穴を多数開けた結果、空気の流れが少し出来たためその後は被害はない。夏の暑い日の昼夜間差による結露であったと
は、設計時には夢にも考えなかった失敗であった。
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